「ラビ、今すぐ元の場所に返してきなさい!」
「やー! ゼッタイ飼うんだあッ! にゃーにゃー飼うんだあッ!」
「みゃーん」
「あのなぁ……」
「だって可哀想じゃん! こくりゅうしんのオニッ! アクマッ!」
「ぎにゃあーッ」
「ちょ、待て! わかった! わかったから猫をそんなにぎゅうぎゅうするなッ! 粉砕骨折する!」
「ラビ、頼むから動物拾ってくんのやめないか?」
「どぉして? だってね、このわんわんがね、雨の中で悲しそうに見てきたの」
「クゥーン……」
「あのなぁ……」
「こんな目で見てきたの」
「クゥーン……」
「……。…………わかったよ、飼うよ。飼えば良いんだろ……」
ラビエールは捨てられたものをよく拾ってくる。
一体何処から見つけてくるのか、定かではないが。
だから、その日ラビがこんなことを言っても、さして驚かなかった。
「ねーねー、こくりゅうしん! あのね、私こんなの拾っちゃったの!」
ひどく上機嫌な少女に目もくれず、私は鬼のような量の仕事に追われていた。
私は書類に集中しながら、うわの空で応じる。
「まーた何か拾ってきたのか? ……あー、もういい。わかった。でも世話は君がしっかりするんだぞ??」
「うんっ!」
私の言葉に、小さなラビは元気いっぱい頷いた。
やれやれ、また我が家に動物が増えるのか。
私は処理済みの書類を、右から左に流しながら溜め息をついた。
まあ、犬2匹に猫3匹を超えてしまえば、後は食費もさして変わらないし、良いだろう。
そんなことを考えながら私はとんとんと書類を揃え、後ろにいる私の子を振り返った。
「ところで、今度は何を拾ってきたんだい。犬か? 猫か……って、おおおッ!?」
ばさばさと書類を取り落とした。
可愛らしいピンクのレインコートを被った少女は、私の反応など微塵も気にせず無邪気に笑った。
「何って、ちーちゃんよ?」
私の子の後ろにぐったりと座り込んでいたのは、どっから如何見ても栗毛の青年だった。
私は引き攣った笑みを浮かべる。
ラビは犬猫の他によもや人間の男を拾ってくるとは、さすがの私も予想外だった。
食費云々の問題ではない。
人権問題だ。
「待て待てラビエール! どっからそんなもん拾ってきたんだ!?」
あまりのことに、その青年をそんなもん扱いしてしまった。
私の慌てっぷりにラビはきょとんとして、可愛らしく小首を傾げた。
「んとねー、そこの道に落ちてた」
「落ちてた!?」
私は彼女の言葉を反復して脱力した。
それは俗に言う、行き倒れのことではなかろうか。
否、それ以前にこの少女、拾って良いものと悪いものがあるだろうが。
私、教育方針を間違えたのか??
今すぐ万物の神に問いただしたい。
私の表情を見たラビエールは、大きな瞳を見開き、すぐさまその青年に抱きついた。
「やっ、ゼッタイ元の場所に返さないんだから! だってさっき、こくりゅうしん良いってゆったわ。私がお世話するなら良い、って!」
私は諭すようにぐったりした青年を指差して、私の子に聞いた。
「ラビ、これは一体何でしょう?」
「だから、ちーちゃんなのっ!」
「おし、わかった! じゃ、その『ちーちゃん』ってのは何なんだ? うん??」
「お……オトコノヒトよ?」
少女は一生懸命、私を窺い見て答える。
私は有無を言わせず受話器を取った。
音速でボタンを押す。
「とりあえず警察に保護してもらおうっと」
少女が盛大に肩を跳ね上げた。
大声が響き渡る。
「きゃー!? だめだめだめぇ! こくりゅうしんのばかーっ!』
ぶつりと電話の通話終了ボタンが押される音がした。
ツーツーと鳴る受話器を片手に、私は私の子と攻防戦を繰り広げることとなる。
原稿返ってきましたよっと(・ω・)
前半だけ此処に晒してみる。
……とりあえず、可愛い子に泣かれてわたわたする男の人が書きたかっただけの話です。
純真な女の子と不器用な男の人が一緒にいると良いと思います\(^o^)/
年の差可愛いですよ、年の差!
ジブカ組の子達に癒しを要求したいものですね。
誰か僕に素敵な絵をください。
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