付き合いで、オレは行間を読むことを覚えてしまったらしい。
ひとつ賢くなったのに、ちっとも嬉しくない。
麻桐さんは人差し指を立ててみせた。
「そんな物騒なことは言ってませんよ。ルーナ君てば怖がりですねぇ。イーヴィルと違って、僕は優しいんですよ」
「……………そうっスね」
「今の間は何でしょう?v」
「何でもないですッ!」
麻桐さんの嘘つき!
スーパーウルトラハイパー怖いわッ!!!
かつっと足音が変わった。
三潭印月には池が沢山あり、それらを九曲橋で繋いでいる。
オレ達は如何やらそのひとつに差し掛かったらしい。
橋の上で、麻桐さんの軍靴が音を立てる。
その隣をオレが歩くが、こちらの場合、音はしない。
猫だから。
と、此処に至ってオレは麻桐さんとの会話を反芻し、大声をあげた。
「ちょ、ちょっと待ってください! 今、『イーヴィル』って言いませんでしたか!?」
我ながら、少し遅い。
麻桐さんは、意図的なのかそうでないのか悪戯っぽく微笑んだ。
「ええ、言いましたよ? 僕がイーヴィルを知っていておかしいということはないでしょう。だって、イーヴィルは僕の部下ですから」
沈黙が数十秒。
オレのネコアタマが再起動する時間である。
麻桐さんは笑顔のまま、首を傾げた。
「言ってませんでしたか? 僕は表向きは空軍総括なのですが、本業はマフィアRequiemのボスだったりするのですよv」
「聞いてませんッ!!!」
オレの悲鳴にも近い叫び声が夜空に響きわたった。
嗚呼、そうだ。
そういえば、常に麻桐さんの名と共にあがるのがイーヴィルさんの名だった。
今更ながら、自分の記憶力の悪さを呪う。
オレはたった今、麻桐さんが就いている役職の全容を知ったのだった。
……いやいやいや、むしろこのタイミングで教えるなんて、れっきとした詐欺だろオイ。
麻桐さんは笑顔だ。
「え~、あれ~? おかしいですねぇ。言ったと思いましたが?」
「いやいや言ってませんて」
「そんなことありませんよ」
「神様仏様本部長様に誓って、そんなことは聞いてません…!」
「ルーナ君に話していないとは、ラウドも駄目駄目ですねぇ」
「本部長の所為にしちゃうんですか!?」
「むしろコーバスは何を考えているのやら」
「ついには師匠に押しつけますか!」
「イーヴィルも使えませんねぇ」
「イーヴィルさん関係ないですッ!」
息も荒く肩を落とすオレに対して、麻桐さんは「ああ!」と言って、ぽんと手を打った。
「では、きっと聞いてない貴方の責任ですねv」
ぐうの音も出ない。
「すいませんでしたアァァァァァ!!!」
オレは早々に諦めた。
黒いオーラが漂う中、オレが五体満足でいるには謝るしかなかったのだけれど。
空軍総括さんが創作主を苛めている様子w
やっと麻桐さんとの掛け合いが出てきて嬉しいです(´ω`*)
中国編はゆっくり書きたいですね~☆
創作主は麻桐さんの腹黒オーラがわかるから、たぶん心労気味になるでしょう(^^)
がんばれ創作主。
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